1.あなたも24時間ホームケアについて考えてみませんか?
施設ケアから在宅ケアへ展開するのであれば、夜間を含めた24時間ホームケア体制が不可欠である。24時間ホームヘルプサービスではなく、医療・看護を含めた24時間ホームケア体制を整えること。そうしなければ在宅ケアはすすみません。
介護保険制度の施行に伴い、介護サービスは市民にとって身近なものとなり、訪問介護サービスの量的整備が行われ、訪問介護にも訪問看護にも、早朝・日中・夜間・深夜の24時間をカバーする介護報酬体系がつくられました。報酬体系があるということは一見すると、24時間ホームケア体制が整っているかのように見えます。しかしどうでしょうか。在宅で、朝早く、夜遅く、必要なときにヘルパーや訪問看護師に来てもらえるという人はまだまだ少ないのです。日本では、24時間ホームケアはまだまだ錯覚に近いのではないでしょうか。私たちは、24時間ホームケアを推進したいと考え、このホームページをつくりました。
  2.現在、日本で夜間の訪問介護がどれくらい行われているか知っていますか?
私たちは、夜間訪問介護と夜間訪問看護を利用している人の実数を、自治体単位で把握しました。

  • 調査研究を行うにあたっての倫理的配慮
  • 自治体調査では、介護報酬データを分析した。基本情報については、自治体の担当課へ調査を依頼し、文書で回答を得た。介護酬データについては、各自治体へ研究協力依頼を行い、個人情報が特定されないように自治体担当者が加工した介護報酬データを得た。本研究は、自治体によって加工されたデータの提供を受けて分析したものである。また、調査研究に協力・参加していただく人・機関については事前にきちんと説明をして了解を得た。協力者らのプライバシーや個人情報を保護するように配慮した。
  • 調査A:介護報酬分析による自治体調査
  • ①研究方法の概略: 東京都内3自治体の研究協力を得て、介護保険給付費3ヶ月分を分析し、夜間訪問介護の利用実態と、夜間訪問看護の利用実態を把握。

    ②夜間訪問介護利用実態の結果集約
    自治体調査の結果、A自治体では、訪問介護利用者100人に対して、早朝・夜間の訪問介護利用者は、5.5人、深夜の訪問介護利用者は0.8~0.9人である。B自治体では、訪問介護利用者100人に対して、早朝夜間帯の利用者は1.6~2.5人、深夜帯は0.2~0.5人である。C自治体では、訪問介護利用者100人に対して、早朝夜間帯の利用者は3.5~4.6人、深夜帯は0.4~0.6人である。どの自治体も、早朝・夜間帯の利用は2人~5人(訪問介護利用者100人に対して)程度あるものの、深夜帯利用は1人(訪問介護利用者100人に対して)いるかいないか、夜間訪問介護の利用実態は総じてとても少ないことが明らかになった。

    ③夜間訪問看護利用実態の結果集約
    訪問看護の夜間訪問実態は、介護報酬分析では浮かび上がらないこと、研究手法上の壁があることがわかった。3自治体とも、早朝・夜間・深夜の訪問看護利用者は、0人から2人程度であり、ほとんど実態はなかった。それは、緊急時訪問看護加算を契約している人に対して緊急訪問を行った場合、夜朝・深夜の加算なしで、日中の介護報酬で請求するからである。介護報酬分析では訪問看護の夜間訪問実態は見えなかったため、訪問看護事業所1ヶ所の夜間訪問実態データをヒアリング調査した。夜間と土日の時間外にある緊急訪問をカウントすると、月に20~30件の訪問が行われていることが明らかになった。
      3.土日の昼間や、夜間帯にサービスを行う訪問介護事業所は限られています。

  • 調査B:訪問介護事業所アンケート調査
  • ①研究方法の概略:平成16年5月に実施。3自治体で訪問介護サービスを提供している全ての訪問介護事業所に対してアンケート調査を行い、夜間訪問の実態と課題を明らかにした。
    ②訪問介護事業所アンケートの結果集約:訪問介護事業所アンケート調査で明らかになったことだが、24時間どころか、日曜や休日には昼間のサービスも提供していない事業所があることがわかった。早朝時間帯の営業を調べると、平日、土曜日、日・祝祭日と稼動は減り、深夜に訪問している事業所はさらに減るという結果であった。24時間365日の切れ間ない訪問介護サービスを行っている事業所は、3自治体において、わずか6事業所であった。訪問介護事業所が夜間訪問を行わない理由は、・夜間スタッフの確保がむつかしい・必要性があっても介護保険限度額までめいっぱいつかっていて夜間訪問を組めない・早朝・夜間・深夜のニーズがない・ニーズをつかむことがむつかしい・事業として成り立たない、というものであった。
      4.なぜ、夜間訪問介護実態がこんなに少ないのでしょうか。
    私たちは、研究会を重ねながらヒアリング内容から夜間訪問を困難にしている背景要因を考えました。その結果、このような理由が考えられるのではと整理したものを掲載します。皆さんはどう考えますか?

  • 夜間訪問実態が少ない理由、背景要因として考えられることがら
  • 1) 夜間訪問介護を必要とする人は施設や病院にいて、在宅には少ない。家に帰りたくても体制がないから帰れない。
    2) 実態が少ないので、夜間帯サービスの存在が知られていない。どう使ったらよいかわからない。
    3) 夜間ケアを要する人はいるが、家族によってケアがなされている。モーニングケアやイブニングケアが不十分。同居家族がいると家族まかせになりがち。
    4) 夜間訪問介護を必要とする人は存在するのだが、地域に点在している。1事業所でルートを組んで採算がとれるほどの人数がいない。まとまりがない。
    5) 夜間訪問は高い。値段、コストがかかる。
    6) 事業所は、手間とコストがみあわず事業として成り立たないので、積極的に夜間ケアに乗り出さない。
    7) 1エリアに複数の事業所が競合している。
    8) 夜間働くスタッフの雇用が難しい。
    9) 夜の訪問スタッフの安全確保が問題。
    10) 常勤雇用のスタッフは限られていて、非常勤やパート職員が、働ける時間に、訪問が引き寄せられている。ほんとうに必要な時間に提供されていない。
    11) 夜間ケアに乗り出す事業所には力量が求められる。専門性の蓄積がないと夜間ケアはやれない。
    12) 夜間訪問を要する人の数が流動的。訪問需要は固定ではなく、日々訪問ルートを見直す必要がある。
    13) 夜間訪問を必要とする人は難度の高い利用者しかも状況が変動する。
    14) 医療ニーズを抱えている利用者が多い。
    15) 細かなアセスメントに基づく個別対応を、短い訪問時間で行う必要がある。
    16) 訪問ルート作成、ヘルパーと利用者のマッチングはパズルを組むような煩雑さである。とても手間がかかる。
    17) 昼の情報を夜につなぎ、夜を昼につないでいく、24時間ホームケアを行う中で他職種との連絡調整を密にする必要がある。情報をつなぐことが大切。
    18) 介護報酬分析だけでは夜間訪問実態がつかめない。
    (上限を超えて、自費契約で訪問介護を使っている人がいるが、介護報酬分析では実態が見えない。緊急時訪問看護加算を契約している人についても、夜間訪問を行っていても介護報酬分析では見えない。訪問需要をもつ人が見えにくい。)
    19) ケアマネの力量不足。サービスの効果を知らない。夜間ケアの必要な人に必要なサービスを組めていない。
    20)本人専用寝室がない、居住空間の問題。(同居家族を起こしてしまう)
    21)鍵を預ける不安。夜に他者を家に入れる不安。
      5.夜間訪問の潜在需要をどう探ればよいのでしょうか。
    夜間訪問の潜在需要をとらえ、サービスが事業として成り立つためにはどのように考えていけばよいのか?ビジネスとして促進させるためには、どのような要因が影響を与えているのか、促進されない背景にはどのようなことがあるのか。マクロ要因、ミクロ要因、それをつなぐものとしてのメゾ要因を考えした。
    例えば、ミクロ要因として、事業者側の要因と、利用者側の要因があります。事業所が事業として成り立たせるためには、マクロ要因として、人口が集まっている高齢者の多い地域で、人口密度が高く、入居施設があまり多くない地域か(もしくは、介護ニーズの高い利用者が優先的に入居施設に入ることができるスクリーニングがうまく働いていない地域)であるほうが、訪問ニーズを求める人が多くいる地域の方が事業が成り立つことになります。サービス対象者が、難しい医療依存度の高い利用者であったとしても、医療職との連携体制があり、情報の共有化ができれば、夜間訪問を提供できるであろう。サービス利用者が多くいると事業として成り立ちます。しかし、そこには利用者の経済的余裕も影響を与えます。事業所と利用者をつなぐ人として、ケアマネージャーの役割が大きいのはいうまでもありません。夜間訪問需要を的確に吸い上げられるかどうか、うまくサービスを提供していけるかどうかも、ケアマネージャーによって左右されます。このように、多くの要因は連関しています。

  • 多要因連関モデルの一例を下記に示す。
  • <多要因関連モデル>


    <マクロ要因>


    <メゾ要因>


    <ミクロ要因>
      6.デンマークの24時間ホームケア体制が整っている自治体の夜間ケア利用実態
    デンマークのN自治体では、24時間ホームケア体制が整っています。利用者100人に対して約15人の夜間帯利用があります。この夜間帯利用者数は、サービス提供が進むとともに伸びてきた数字です。デンマークでも、ホームケア体制が整うに伴って、夜間の訪問介件数が飛躍的に伸びたのです。体制が整えられれば利用が増えることを示しています。1988年を100とすると、深夜帯のホームケア件数は、1995年には約500と、わずか7年間で、深夜訪問が5倍近くになっています。( 表 24時間ホームケア シフト別ホームケア訪問件数(日勤、準夜、深夜、1988年~1995年の動向)

  • 夜間帯の訪問介護の利用率(本調査・他参考データ・デンマークの比較)
  • 参考データの出典
    1) 自治体T
      2005年2月、現地視察ヒアリング時に、訪問介護事業所から得たデータから算出。
      データは平成14年度(2002年度)のもの。
    算出根拠: 訪問介護利用者数 335名。
    夜間帯(19時~朝7時)訪問の利用者数64名。 64/335×100=19
    訪問介護利用者100人に対する夜間帯の訪問介護利用者数は19人。

    2)デンマーク自治体N
     データは、1995年1月のもの。訪問介護と訪問看護の利用者を含む。
      現地視察時に、自治体Nの担当者から得た資料を筆者訳。
    (出典:渡辺裕美「デンマーク24時間ホームケア報告書」『笹川医学医療財団 平成9年度 海外研究員派遣報告書』平成10年3月)
       算出根拠:訪問介護と訪問看護の両方を含むホームケア利用者の総計1517人。
    準夜帯(およそ15時-23時)ケアを必要とする者176人、176/1517×100=11.6
    深夜帯(およそ23時―7時)ケアを必要とする者51人。51/1517×100=3.36
    上記データは、自治体Nがインテグレートケアを実施する前のデータで、施設入居の人が混在せず、在宅の人だけの数字である。そのため、日本のデータと比較対照するのに参考になる。

    3) 自治体N データは、2005年6月15日もの。
    訪問介護と訪問看護のホームケア利用者データであり、在宅居住者と施設居住者全体へ対するホームケア利用者データ。
    2005年6月、現地視察時に市職員に依頼し、統計処理によってデータを入手。
    現在、自治体Nはインテグレートケア(報告書末にあるデンマーク24時間ホームケアの項を参照のこと)を実施している。そのために、在宅・施設のすべての市民に対して行っているホームケアサービスの利用状況を区分せずに統計処理している。母数の算出も、利用者の算出も、施設居住者と在宅居住者の両方を含んでいるため、在宅の人の内、何人が夜間帯の訪問介護を利用しているのか不明である。10年前のデータや日本のデータと単純に比較できないことに注意を要する。
    自治体Nの10年前のデータと比べると夜間訪問が3倍となっているように見えるが、純粋にケアサービスを利用する人が3倍になったということではない。
      7.今、日本では、夜間訪問介護の利用者はとても少ないです。しかし、利用者がどんなに少なくても、体制は必要なのです。24時間ホームケア体制がなければ地域に帰れません。自治体主導で、広域で夜間ケア体制を導くことが必要と考えます。
    自治体調査(A・B・C自治体)における夜間訪問介護利用者数は、早朝夜間帯訪問介護利用は、訪問介護利用100人に対して1.6~5.5人であった。深夜帯訪問介護利用は、訪問介護利用100人に対して0.2~0.9人であった。訪問看護の夜間訪問実態データは、0人~2人であった。(訪問看護については、緊急時訪問加算を契約している人の夜間訪問実態については介護報酬分析という研究手法では見えないという研究手法上の壁に突き当たった。よって、今回の研究では訪問介護を中心として論じることとした。)
    訪問を必要とする人がたとえ1人であろうと、地域に点在していようと、必要な人に24時間ケアサービスを届けるしくみをつくらなければ、24時間ホームケアの利用はすすまない。地域には事業所の営業エリアが入り組んでいるところもある。市場主義、営利を求めていると、いつまでも24時間ホームケア体制はつくれない。訪問介護利用者100人に対すると需要は5~6人しかなくても、訪問介護利用者200を対象とすると、1ルートを組めるだけの需要がある。1事業所のエリアでは点在してしまう利用者であるが、広域でとらえると、まとまりも出てくる。エリアを時間帯によって広域でとらえ、自治体が主導して24時間ホームケア体制をつくることを本気で考えるときである。体制がなければ、ニーズはなく、利用は増えない。在宅の体制を本気で考え、長期的なコスト削減のためには、24時間ホームケア体制が必要である。

      8.夜間訪問の利用率はどのくらいまで上がるでしょうか。今はとても少ない利用しかないが、ケア体制の充実に伴って夜間ケア利用者は増えていくでしょう。訪問介護利用100人に対して、準夜帯に十数人、深夜に数人か?しかし、夜間訪問利用実態が増えることは=ケア体制が手厚くなったわけではありません。必要な人に必要な訪問を見極める、専門職の目効きが重要です。
    夜間の訪問介護利用は、夜間訪問体制が不十分な現状では利用したくても利用できないので利用実態が少ない。体制が整えられたと仮定すると、どのくらいまで利用率があがるだろうか。24時間ホームケア体制がないので、夜間訪問利用者が少ないのであろう。体制が不十分な現状では利用したくても利用できないのであって、体制を整えれば、利用者は増えるに違いない。潜在需要はかなりある。
    デンマークの例に見るように、ホームヘルプサービス利用者を100人とすると、15人程度は早朝準夜時間帯にサービスを必要とし、5人程度は深夜帯にサービスを要するであろうことが推察される。
    数字は高くなればサービス提供体制が整っていることになる。しかし、だからといって、夜間利用に応じ、その回数が多ければ多いことが、質の高いホームケアではない。夜間訪問が多い事業所が活発な活動を行っているわけではない。夜は眠るものである。夜眠れるように昼に援助することが大切である。ほんとうに夜間ケアが必要な人を絞り込む専門職の目、アセスメントによって夜間ケアが組まれるべきである。

      9.力量ある事業所しか夜間訪問に乗り出せない。事業所支援が必要。
    夜間にサービス提供しようとしてもなかなか乗り出せるものではありません。力量がある事業所しか夜間ケアはできないのです。現在、夜間にサービス提供を行っている事業所は、スタッフに専門性の蓄積があり、事業所運営の力がかなりあるところです。また、事業として成立するように独自の工夫をしてきた事業所です。 ですから、これから夜間ケアに乗り出すことを考えはじめる事業所にとっては、事業所支援があれば、よりスムーズに乗り出せるようになるはずです。支援が求められているといってもよいでしょう。

  • 夜間ケアに乗り出せる事業所になれるように支援する。
  • ①事業として成立するしくみ。(経営的に成り立ち、採算が取れるしくみ など)
    ②事業所運営の力量強化。(利用者確保・営業・スタッフの雇用など)
    ③スタッフの専門性の蓄積。看護師・介護福祉士・ケアスタッフの専門性を高める。
    アセスメント能力 訪問介護計画・訪問看護計画を書く力
      10.定期訪問と随時訪問の専門職関与は異なります。
    随時訪問は、本人が来てほしいと呼んだときに訪問します。定期訪問は、あらかじめ目的に沿って訪問を位置づけて行います。定期訪問に加えて随時訪問があれば、あらゆるニーズに応じられ、専門職の関与や積極的な働きかけを行うことも可能です。本人がボタンを押せない場合も、今呼ぶべきだと判断できない人にも、あらかじめ予測して訪問を組みます。それに加えて、本人が呼んだときにも応じることができます。
    しかし、随時訪問だけでカバーできるニーズはとても限られています。定期訪問なしで随時訪問だけ、というのは、包括的なサービスとは程遠いものです。呼べば来てくれるサービスのためだけのサービスは、自分で呼べるボタンを押せる人、自分で判断できる人に限られます。転倒したら起こすことはできますが、転倒しないようにコードの配置を変えたり、夜中に起きなくてよいように、トイレの時間を設定したり、というような一歩踏み込んだ関与はやりにくくなります。また、ボタンを押せない、夜間ケアを必要とする重介護の人にはサービスは届きません。定期訪問プラス随時が基本であることを重ねて強調します。

      11.24時間ホームケアをどう推進するか
    24時間ホームケアがあるということは、医療・訪問看護やホームヘルプだけでなく、配食サービスや緊急通報や補助器具などの必要なサービスを組み合わせて行なう包括的なケアサービスがある、ということである。
    浦谷馨(2003)は、「24時間体制の訪問介護は必要だが、事業化するのが難しい(採算をとるのが難しい)、その提供体制を整備するには相当のノウハウが必要である。24時間巡回型介護システムの構築は街づくりに似ている」と述べている。
    現在は、夜間訪問介護も夜間訪問看護も少数しか利用実態がない。しかし、夜間のケア体制を整えるのは難しい。今すぐに行えることとして、まずは、日中の訪問介護・訪問看護体制を強化することである。24時間よりも、まずは365日のケア体制を整える。日中の時間帯に定期訪問を組み、予測できることに手を打つ。夜眠れるように援助を行う。早朝のサービスの動き出しは今よりも早める。モーニングケアとイブニングケアをきっちり担う。
    そして、サービス提供時間を今よりも朝早く稼動できるようにする。パートタイムのスタッフが働きやすい朝9時過ぎにマンパワーの山がある現状ではなく、朝、8時ころには、パートタイムで働く人も一斉に稼動できるようにマンパワーの山をつくり、モーニングケアをしっかりと担うことが先決であろう。必要な時間は家族にゆだねられ、ヘルパーは稼動している時間にできることを行うというサービスであってはならない。
    滞在型ではなく、巡回型訪問をつないで支えていくホームケア体制になると、点と点の訪問をつなぐ緊急通報システムは1日中必要となる。ホームヘルプの時間を短縮することになると、調理にそれほど時間をかけられないということになる。しかし、生きることを支える食事はとても大切である。バラエティに富み食べる意欲をかきたてる、かつ、治療食や飲み込む形態にも応えた食事サービスが365日必要である。また、自立を助ける福祉用具や住環境整備についても、今以上に充実させなければならない。
    夜間帯のケアを必要とする人の数は、1つの事業所ごとに訪問ルートを組めるほどはいないであろうから、事業所の壁を越えて、広域で夜間体制をどう組むかということを考えなければ先へいけないことも予想される。広域で夜間体制を組むにはどうすればよいのか?この問いへの答えはむつかしいが、各事業所まかせではすすむはずがない。
    自治体主導による何らかの導きが必須である。仮に、事業所連合体によって夜間ケアセンターを立ち上げ、そこにスタッフを配置して、24時間ホームケア体制をつくる
    医療がなければ、在宅に暮らし続けることはできない。24時間ホームケアは専門性の蓄積がなければ成り立たない。ケアマネージャーが夜間ケアの意味や効果を知り、どのような人にどのようなサービスをどう使うかをよく知る。24時間ホームケアをPRし、地域に暮らし続ける選択肢があることを知らせる。24時間ホームケア体制の推進を願う。

  • 24時間ホームケアを推進するための方向性
  • 利用者特性― 夜間訪問を要するのは難度の高い利用者、しかも状況が変動する
  • 医療ニーズへの対応が求められる
  • 訪問の数が増えたりへったりする 流動性に対応できる⇔ある程度の数が必要
  •   まとめ 「推進したい 24時間ホームケアのイメージ」