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東洋大学 渡辺裕美 |
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渡航目的
文部科学省平成18~20年度科学研究費補助金(基盤研究B一般)課題番号18330124
「24時間ホームケア 夜間ケアを担う訪問介護事業所支援に関する研究」に関する北欧先進地の実態把握と関係者へのヒアリング
メンバー ネストベッツ訪問9回目のA、ケアマネジメントの第一人者のB、認知症ケアに豊富な経験を持つC、長年365日・24時間ホームヘルプサービスにとりくみ質の高いサービス提供してきたD,巡回型の24時間ホームヘルプサービスと夜間対応型訪問介護を一体的に運用している夜間帯訪問介護パイオニアE,計5人。
プログラム
2007年 2月20日 デンマーク コペンハーゲンへ 電車でネストベッツへ
2月21日 9:30-10:00 ネストベッツ市長歓迎
10:00-12:00 市高齢者ケア部長による「高齢者ケア体制」講義
12:15-13:00 高齢者施設へ移動してランチ
13:00-15:00 Kildemarkscentret 高齢者施設見学
2月22日 6:45-7:00 ホームケア朝の申し送り参加
7:00-12:00 訪問介護・訪問看護ホームケア同行訪問
12:00-13:00 高齢者施設 Munkebo でランチ
13:00-15:00 「緊急通報システム」市職員による講義
16:00-24:00 準夜帯の24時間ホームケア同行訪問
2月23日 8:15-9:45 「日本の高齢者ケア・ホームケア」について渡辺・高野が市職員・現地スタッフへ講義
10:00-12:00 「ポケットコンピューター活用によるホームケア」市職員とZealand Care会社による講義
12:15-13:00 ネストベッツ中央病院でランチ
13:15-15:00 「退院時ケアとケアマネジメント」婦長の講義
23:00-7:00 深夜帯24時間ホームケア同行訪問
2月24日 夜勤明け ネストベッツからコペンハーゲンへ電車で移動
2月25日 日本へ(+26日 着)
現地コーディネーター: ネストベ職員 LOPO担当者 、通訳 2人 |
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報告の概要 |
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スケジュールに沿って動いた。デンマークネストベの高齢者ケア概要、新施設(アパートメント方式)の見学、ケイタイパソコンによる訪問介護と訪問看護の一括管理方式、24時間ホームケアで使われている緊急アラームの種類と運用システム、入院時からの退院時計画、について最新の情報を得た。さらに、日勤、準夜、深夜、のヘルパーさに同行し、どのようなニーズがある人にどのようなサービスが提供されているのかを実際に目で見て肌で感じた。
ケイタイパソコンを使った訪問看護と訪問介護の一括方式が稼動して1年。日本でいうケアマネ(ビジテーター)が時間量を決め、プランナーが計画を書き、ヘルパーがそれを受けて訪問している。誰が何をするのかが明確で、ヘルパーの稼動時間はめいっぱい実働に避けるようになっていた。日本のサービス提供責任者が事務作業や管理業務に追われ、ヘルパーも時間外で記録を書いているのとはかなり異なる。夜間ケアの必要性については、本人が「来てほしい」と申告する日本とは異なり、ビジテーターがどの時間帯にどのようなケアが必要かを査定し、それをもとにサービスが夜間にも組まれている。
実際に夜間訪問に同行した様子をかいつまんで報告する。ルート11、Birgit(ヘルパーになって27年の経験を持つというベテラン)に同行。準夜(15時ー23時)に23件の訪問。利用者からアラームによる随時訪問要請が2回あったが、その日は別のヘルパーに行ってもらうように連絡したため、アラームによる随時訪問は行わなかった。ケイタは仲間との連絡にも使われ、実際、同僚の看護師が℡をかけてきて、インシュリンのために訪問したら、便が多量にあり手伝ってほしいということで、看護師と2人介助のために訪問したり、ターミナルの方を担当している若いヘルパーからの℡でかけつけて、2人介助で体の向きをかえたりする訪問があった。日本の端末は利用者と事業所を結ぶだけであるのと差がある。一番長い訪問時間は19:15-19:45の30分、他は、3分から10分ほどと、非常に短時間の訪問が組まれていた。やらなければならない援助をやればよいのであって、ヘルパーは時間拘束されていないしくみである。薬の管理と服薬介助がとてもしっかり行われていました。夕食前に薬を飲ませるために訪問(看護師が薬箱に配剤したり、薬局から配剤したものが届き、ヘルパーが薬を確実に飲ませてチエックリストにサインをする。時には薬をすりつぶして飲ませるいこともあった。)その他、夜間ニーズとしては、夕食の調理(配食あたためが中心)、夕食介助、おむつ交換、ポータブル介助、弾性ストッキングを脱がせる介助、ねまきに着替えたり服を脱がせてベッドへ就寝介助、ターミナルの人の見守りと介助・家族との会話、看護師への連絡、などであった。 深夜(23時ー朝7時)にも23件の訪問に同行した。他に、同行できず車の中で待っていた訪問が2件あった。(アルコール中毒の人、同行者を受け入れてもらえない人) 深夜は2人ヘルパーで訪問する(単独訪問は法律で禁となっている)という。
市内全域の深夜訪問に同行したが、その夜間訪問の実態については、別途、我妻の報告に記した。また、ケアマネジメントや病院から地域への退院時連絡体制の詳細については、別途、高野の報告に記した。これらを参照されたい。
日本の24時間ホームケアでは一晩に1ルートで20件を超える訪問が行われるとは考えられない。必要なことを必要な人に対して行えれば、訪問時間は現場にまかされている。現場スタッフが判断し決定権を持っているのはすごいことである。また、夜間ニーズをもつ利用者を確実に把握するしくみが必要であることを考えされられた。1つのヒントが退院時計画、病院とケアマネとの連動にあろう。日本で24時間ホームケアの制度をどう作っていくのか、昼の訪問介護と夜の訪問介護を包括的に行うしくみについてどうすすめていくか、示唆を得た海外研究であった。 |
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