外足介助による立位移乗とは?

 立位移乗には適応があります。Lesson21を読んでください。ヨイショと抱きかかえる介助は限界があります。すぐにやめて、福祉用具を活用した座位移乗やリフト移乗などに変えるべきです。さて、現場でよく行われている立位移乗の方法には、「中足介助(利用者の両足の間に介護者の足を片方さし入れる介助方法)」と「外足介助(利用者の足に介護者の足を外側から寄せる介助方法)」があります。がしかし、私たちは外足介助による立位移乗方法のビデオを作製しました。
 中足介助をすすめない理由は、@中足介助は、利用者が立って回転することを介護者の足が阻害する。A利用者の全体重を介護者の足に乗せて回転することになり、介護者の負担が大きい。Bフットレストがはずれない車椅子では狭い間に3本の足が入ることになり、回転時に皮膚を傷つけることがあるからです。
 外足介助による立位移乗は、本人の力を引き出し、介護者の基底面積が横に広く取れるので、ふらつきが少なくなります。皮膚を傷つけることも防ぎます。外足介助の方法を学んでください。

外足介助による立位移乗
1 説明と同意

声かけ
本人の力を引き出す
最初にこれからする介護行為について、利用者へ説明し、同意を得、協力依頼を行う。
また、それぞれの行為ごとに、声をかける。
本人ができることは本人に。できないことを手伝う。
2 起き上がり端座位介助。深く腰掛けている人を浅く腰掛けて立ち上がりやすい体勢にする。 ○利用者をベッドサイドに端座位に座れるように介助します。
○介護者は、利用者の正面に、両膝の間に利用者をおくように立つ。
○腰を低く下ろす。
○利用者の腰部に両手をかける。
○右。左。と交互に繰り返し、少しずつ腰部を押し出す。
○利用者の両足が床につく体勢に介助する。
3 車椅子を位置づける ○利用者から離れて、車椅子を位置づけるときには、利用者の座位が安定していることを確認(手すりを持っていることを確認等)すること。目線はできる限り離さないこと。
○車椅子の位置は、健側、頭の方、斜め、近く、に置く。(アームレストに手がかかり、歩かず回転だけで座れるように、近い距離に置くことがポイント)
○ブレーキがかかっていることを確認する。(車椅子をあらかじめ近くにおいてから、浅く腰掛ける介助を行い、車椅子をより近づけるのも可)
4 立位移乗 ○利用者の足横に介護者の片足を置く。
○もう片方の足は、車椅子方向(移乗する方向)へ足先を向ける。(そうしないと、腰がねじれて介護者の負担)
○介護者は腰を下ろして低くなり、利用者に近づく
○肩を寄せる(車椅子が見え、視界が開けるように)
○利用者の両手は介護者の肩にまわしてもらう。
○利用者の背中を介護者の手で軽く押し、利用者を前傾にする。(この時点で、介護者の腰はまっすぐに近くすること。利用者が前傾になるのであって、介護者が前傾になったまま立ち上がってはならない。)
○介護者は肩に利用者を乗せて、ゆっくり立ち上がる。
○ゆっくりと回転する。
○ゆっくりといっしょに座る。(一気に回転してはダメ。介護者の足が動いてダメ)
5 座りなおし ○奥までしっかり座るように座りなおしをする。
○利用者本人によるプッシュアップや、体を前後左右に倒して皮膚のずれや摩擦をとる。